お金の口約束

  1. 友人にお金を貸したんじゃが、借用書も何も作っとらんのよ。言いにくくてなぁ。口約束でも大丈夫じゃろうか?
  2. そうですね。当然その友達は返済義務がありますから、お金を返さなければなりません。
    しかし現実として、その友人が借りたことを忘れてしまうこともあります。
    また、借主が死んでしまって、相続人が「そんなことは知らない。」と認めないこともあるでしょう。
    どうしても借りたことを認めない時は、裁判にならざるを得ません。
    その場合は貸した方が、お金を貸したことの証明をしなくてはなりません。
  3. じゃあ、そのときに口約束じゃと困るわけじゃな?
  4. その通りです。証明することは借用書や契約書があれば、それほど苦労しません。
    しかし、口約束だけだと、証明は非常に難しくなるでしょう。
  5. 借用書には何を書けばええんかなぁ?
  6. まず最低限、①借主・貸主の住所、氏名 ②いつ、いくら貸したか ③いつ返すのか 、を書きましょう。
    そこに借主自身が名前を書いて、出来れば実印を押してもらうと良いです。

相続の承認及び放棄

  1. 先日、父が亡くなって相続しなきゃならんのじゃが、どんなところに注意したらええんじゃろか?
  2. そうですね。まず、相続というものは、亡くなった人のプラスの財産だけでなくマイナスのもの、つまり借金も相続することになりますから注意が必要です。
    相続したことによって、多額の債務を背負うことのないよう遺産の中身を調査すべきでしょう。
    特に連帯保証債務の有無については注意すべきです。
    遺産についてプラスの財産と借金等について把握したら、次に相続するか否かについて判断します。それには大まかに三つのやり方があります。
  3. 三つのやり方?
  4. まず、借金に比べてプラスの財産が明らかに多ければ、亡くなった人のプラスの財産と債務をそのまま相続する単純承認をすることになるでしょう。
    次に、借金がプラスの財産より明らかに多い場合は、相続放棄を考慮しなければなりません。
    相続放棄をすれば、初めから相続人にならなかったものとみなされ、プラスの財産も借金等の債務も引き継ぐことはありません。
    相続放棄をするには、被相続人の死亡を知ったときから三ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。
    次に、遺産のプラスとマイナスが明確に判断できないとき、プラスの財産の範囲内で債務を支払う限定承認という方法もあります。これについては、専門家にご相談下さい。

消滅時効

  1. 十年ほど前じゃろうか。私は友人に五十万円貸したんじゃ。友人じゃから特に催促もせんかった。でもお金が必要になって、その友人に貸したお金を返してくれと言ったら、時効にかかっているから返さんと言われたんじゃ。本当に返してもらえんのじゃろか?
  2. そうですね。原則として言えば、貴方のお金を返してくれという権利は時効によって消滅していると考えられます。
    ですから、友人にお金を返してもらえないと、原則的には言えます。
    しかし、例えば、お金を貸してから数年後に、その友人から利息の支払いを受けたようなときには、「時効が中断」し、利息の支払いのときからさらに十年間を経過しないと時効は完成しませんからお金を返してもらえる場合があるでしょう。
  3. 時効が完成してしまったら、どうしようもないんじゃろうな…。
  4. そうですね。ただ、時効が完成しても、その友人が債務があることを認めるような行為、例えば、債務の一部を弁済したり、債務の承認書を差し入れたりしたようなときには、もはや時効を援用(時効を主張すること)はできないと解されています。
    貴方も友人に貸金債務を承認してもらえば十年経過後でも貸金を返してもらうことができます。
    しかし、現実には貸金債務の承認は困難なことが多いので、時効の完成には注意が必要です。

任意後見制度

  1. 私は80歳になる一人暮らしの老人じゃが、子供もおらんし、頼りになる親戚もおらん。足腰も弱うなってきておるし、ボケたらどうなるんかと将来が心配じゃ。何かええ方法はないんじゃろか?
  2. そうですね。任意後見制度の利用を考えてもいいでしょう。
    任意後見制度を利用するには、貴方が信頼できる人を任意後見人に選び、公正証書で任意後見契約というものを作成しなければなりません。
    身近にそういう人がいなければ、司法書士や弁護士に後見人を依頼することも考えられます。
    貴方の判断能力が将来落ちた時、貴方の代わりに預貯金などの財産の管理や、入院費の支払い、老人ホームへの入所契約等について、契約に基づいて貴方を支えてくれます。
  3. 任意後見契約を結んだら、すぐにやってくれるんかの?
  4. いいえ。それは貴方の判断能力が落ちて、家庭裁判所で任意後見監督人が選ばれたときからです。
  5. 任意後見監督人ってなんじゃ?
  6. 任意後見監督人とは、任意後見人の事務を監視したり、その事務について定期的に家庭裁判所に報告をする人です。
    任意後見人に不正がないようにチェックし、貴方の権利を守ってくれます。
    詳しいことは、近くの法律専門家にお聞きになることをお勧めします。

身元保証

  1. 今春、大学を卒業し就職した甥に身元保証人になってくれと頼まれて身元保証人になったんじゃが、どんな責任があるんじゃろか?
  2. 身元保証契約とは被用者が会社に損害を与えたときに、その損害を賠償する約束をする契約です。例えば貴方の甥が使い込みをしたようなときには貴方は原則として、賠償の責任を負います。
  3. とすると、場合によっては非常に多額の責任を負ったり、長期間にわたり責任を免れないんじゃろうか?
  4. ええ、身元保証人に過酷な責任が生じるおそれがあるため、身元保証法では次のような規定があります。
    まず、身元保証契約に存続期間の定めがないときは存続期間は契約のときから三年です(ただし、商工業見習者は五年)。存続期間の定めがあっても五年が最長です。
    次に、賠償額についても会社に監督上の過失があったか等についても勘案されます。
    例えば、貴方の甥がお金にルーズな人間であるにもかかわらず漫然と金銭を扱う仕事をさせていた場合などは、賠償額が軽減されることがあるでしょう。
    また身元保証法によれば、貴方の甥に不適任、不誠実な事情(例えば、賭博に入れ込んでいたり、会社をよく休んだりする等)があれば、会社はそのことを身元保証人に通知しなくてはなりません。
    この通知を受けたとき、身元保証人は保証契約を解約することができます。